いよいよ本格的な夏が到来し、連日厳しい暑さが続いています。こうした季節に特に注意していただきたいのが「熱中症」です。訪問看護の現場でも、毎年この時期になると熱中症の兆候が見られるご利用者様が増える傾向にあります。
今回は熱中症の予防と早期対応についてご紹介します。
熱中症とは?
熱中症とは、高温多湿な環境下で体温調節機能がうまく働かなくなり、体内の水分や塩分のバランスが崩れることで起こる健康障害の総称です。
重症になると意識障害や多臓器不全を引き起こし、命に関わることもあります。
熱中症は外出中だけでなく屋内でも発症します。特に高齢者や持病をお持ちの方は、自覚症状が乏しく重症化しやすいため、周囲の見守りと早期の対応が重要です。
こんな方は特に注意が必要
以下のような方は特に熱中症リスクが高いため、日頃から対策を講じる必要があります。
- 65歳以上の高齢者
- 心疾患、脳血管疾患、糖尿病、腎疾患などの基礎疾患がある方
- 利尿剤を内服している方(脱水リスクが上がります)
- 自力で水分摂取が難しい方(嚥下障害・認知症など)
- 体温調節機能が低下している方(寝たきりの方など)
訪問看護で実際に行っていること
当ステーションでは、夏季に以下のような熱中症予防の取り組みを行っています。
1. バイタルチェックと脱水の観察
訪問時には、血圧、体温、脈拍、SpO₂などのバイタルサインに加え、皮膚の乾燥、舌の状態、尿量・尿色などから脱水症状の兆候を確認します。
2. 水分摂取の声かけと記録
ご利用者様ごとに適切な水分量(目安:1日1.5~2L)を設定し、摂取状況を確認しています。嚥下障害がある方には、とろみ付き飲料やゼリーなども提案。
3. 環境確認
エアコンが適切に使われているか、直射日光が入らないか、室温が28℃以下に保たれているかなども確認します。「もったいないから冷房をつけない」という方もおられますが、そういった場合には、命を守るためにも適切な情報提供をしております。
こんな症状があれば要注意!
熱中症の初期には以下のような症状がよく見られます。
- 立ちくらみ、ふらつき
- 頭痛
- 吐き気
- 筋肉のけいれん(こむら返り)
- 異常な発汗(または汗が出ない)
- 体のだるさ、倦怠感
これらの症状が見られたら、まずは涼しい場所に移し、水分と塩分を補給してください。意識がもうろうとしている、体温が高い、反応が鈍いなどの重症兆候がある場合はすぐに救急車を呼んでください。
ご家族・介護者の皆様へ
訪問看護の現場では、「室内にいたのに熱中症になった」「気づいたらぐったりしていた」といったケースが多く見られます。高齢の方や持病のある方は、暑さへの感覚が感じづらくなっていることがあるため、見た目だけでは判断が難しいこともあります。
室温や湿度の管理、水分摂取の声かけ、日々の様子観察など、日頃の小さな気配りが熱中症の予防に直結します。
最後に
熱中症は「予防」がなにより大切です。
私たち訪問看護師は医療的な知識とケアの視点から、皆様の健康管理を全力でサポートしてまいります。
今年の夏もどうぞご無理のないように。
何か不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。
今後とも「ぴあ野訪問看護ステーション」をよろしくお願いいたします。